
製造現場のマニュアルを作成する際、「正しく手順を書いているはずなのに、現場では誤解されてしまう」「読んだ通りにやってくれない」といった悩みを抱える方は少なくありません。
その原因のひとつが、作業の“NGパターン”が具体的に示されていないことです。作業の「正しいやり方(OK)」だけを載せても、「間違ったやり方(NG)」を知らなければ、現場では自己流になってしまうことがあります。
そこで効果的なのが、NG/OKの比較図解をマニュアルに取り入れる方法です。
なぜ「NG/OK比較図」がマニュアルに効くのか?
- 「やってはいけない例」を見せることで、誤操作・事故を未然に防げる
- NGとOKを並べると、違いが一目瞭然になり、記憶に残る
- 現場で迷ったときの判断材料になる(「これはNG例に近いな」と気づける)
作業者にとって、文章で「〜しないでください」と書かれるより、NG例の写真や図があるほうがはるかにわかりやすいのです。
【活用例】マニュアル内に入れるべき「NG/OK図解」のパターン
◆ 例1:置き方・並べ方の違い
- NG:部品を乱雑に置いた写真(識別できない、取り出しにくい)
- OK:品番が見えるように整列された写真(すぐに取り出せる)
➡ 作業前の「段取り状態」を比較するだけで、良し悪しの判断基準がはっきりする。
◆ 例2:手順の省略・間違い
- NG:安全カバーを外したまま操作している手元写真
- OK:安全カバーを正しく装着した状態で操作している写真
➡ 危険な行為をあえて「NG例」として明示することで、事故防止に役立つ。
◆ 例3:清掃・点検の完了基準
- NG:汚れが残っている部品の写真(まだ完了していない)
- OK:ピカピカに清掃された部品の写真(作業完了の判断ができる)
➡ 仕上がりの基準を感覚に頼らず、目で見て判断できる形で提示。
NG/OK図解を入れる際の3つのポイント
1. NG例は「やりがちな間違い」に限定する
想定しにくい極端なNG例ではなく、現場で実際によく起きる失敗パターンを選びましょう。
2. 写真や図は「同じ角度・同じ構図」で撮る
比較しやすくするために、NGとOKは同じ視点・同じ条件で並べるのが鉄則です。
3. 一目で違いがわかるよう、色やマークを工夫する
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NGには赤✕マーク、OKには青○マークなどを使用
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枠線や吹き出しで「どこが違うのか」を補足する
図で見せれば、「なぜそれがNGなのか」が伝わる
作業マニュアルの目的は、「間違いなく、迷いなく、誰でも同じ品質で作業できるようにすること」。
そのためには、正しいやり方を伝えるだけでは足りません。
「よくある間違い」との違いを図解で見せることが、理解と定着のカギになります。
まとめ:NG/OKの比較図解で、現場の“わからない”をなくす
マニュアルは、読むものではなく「使われるもの」でなければ意味がありません。
現場で実際に手を動かす人が「これなら理解できる」と思えるかどうかがすべてです。
NGとOKの比較図解を取り入れるだけで、マニュアルの伝わり方は劇的に変わります。
一目でわかる・パッと見て判断できる。そんなマニュアルを目指して、ぜひ活用してみてください。
この記事を書いた人
編集部