マニュアルの「判型」、そのままで大丈夫? 海外展開で注意したい用紙サイズの話

製造業における製品出荷時のマニュアル添付は必須業務の一つです。グローバルに展開する製品では、マニュアルの多言語対応はもちろん、「判型(=用紙サイズ)」への配慮も求められます。
日本国内では当たり前のように使われているA4サイズですが、海外では事情が異なる場合も。実際に「現地で印刷できない」「レイアウトが崩れた」といったトラブルも報告されています。この記事では、海外向けマニュアル制作において技術者が押さえておくべき判型の基本と実務での注意点を解説します。

判型とは?基本をおさらい

「判型」とは、印刷物のサイズ、つまり用紙の規格のことを指します。製品マニュアルでは一般的にA4サイズ(210mm×297mm)が多用されますが、これは日本国内の標準であり、必ずしも世界共通ではありません。
規格が違えば、プリンター設定や印刷工程に影響を及ぼすため、量産品の出荷や海外子会社・代理店での印刷時に支障が出ることがあります。

海外ではA4じゃない?国別に主流サイズをチェック

たとえば、アメリカやカナダでは「Letter(8.5×11インチ)」が標準的なサイズです。これはA4より横幅が少し広く、縦が少し短いサイズです。ヨーロッパではA4が多く使われていますが、一部地域では独自のサイズも使われることがあります。
また、国によってプリンターやオフィス用紙の標準が異なるため、A4で作ったファイルが「うまく印刷できない」「余白が切れる」などの不具合につながるケースもあります。

判型の違いが引き起こす“あるあるトラブル”

  • 印刷、PDF出力時のレイアウト崩れ:文字や図面の一部がページ外に出てしまったり、不要な余白ができたりする
  • 保管性の悪化:バインダーやドキュメントフォルダーに収まらない
  • 輸送・コスト面の問題:サイズが合わず梱包しづらい、無駄な空間が増える

これらのトラブルは、配布後の問い合わせや、最悪の場合はトラブル対応・再作成のコスト増加にもつながります。

実務でどうする?判型選びの判断基準

海外向けにマニュアルを展開する際、まず検討すべきは「現地の標準に合わせるべきか」「A4で統一すべきか」です。印刷や保管を現地で行う場合は、その国の標準に従うのが安全です。
一方、PDFなどのデジタル配布が前提であれば、A4統一も一つの選択肢。ただし、その場合でも「プリント時のずれ」への配慮が必要です。
また、判型変更はDTP作業に大きく影響します。単にサイズを変えるだけではなく、改行位置、図版の配置、ページ構成に至るまで細かい調整が必要になるため、デザインや翻訳との連携も早期に行うことが重要です。

判型調整でトラブルを防ぐための工夫

ある電子機器メーカーでは、全世界でA4統一を選択。その代わり、PDFのプリントテストを複数台の現地プリンターで行うことで、導入現場での印刷トラブルをゼロに抑えました。
一方、産業機械メーカーでは、北米市場向けにLetterサイズでのマニュアル対応を実施。DTPチームがテンプレートを調整し、現地印刷業者とのスムーズな連携を実現しました。

まとめ:マニュアルの品質は“用紙サイズ”にも宿る

製造業において、マニュアルは製品品質と同じくらい重要な顧客接点です。そのマニュアルが現地で正しく機能するためには、用紙サイズという「基本仕様」にまで目を配る必要があります。
判型を後回しにすると、工程全体への影響が出るリスクも。海外展開を見据えた製品設計や技術文書の標準化の一環として、ぜひ判型対応も前倒しで検討しましょう。

この記事を書いた人

編集部 Y

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