中国向けマニュアル翻訳で失敗しないための4つのポイント

日本の製品も海外進出が進み、英語圏以外でも広く使用されるようになっています。特に近年、中国市場への製品輸出が増加しているのは皆さん感じているのではないでしょうか。

例えば自動車。2022年の輸出先ランキングを見ると、以下のようになっています。
1. アメリカ合衆国
2. オーストラリア
3. 中国
4. サウジアラビア
5. カナダ
6. アラブ首長国連邦
7. ロシア
8. イギリス
9. 台湾
10. ドイツ
(出典:日本の自動車輸出相手国上位10カ国の推移:https://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/data/y8_1.pdf)

他の産業でも、英語圏に次いで需要が高いのは中国語圏とされることが多いです。今回の記事では、中国語へのマニュアル翻訳時に注意が必要なポイントをご紹介します。

使用予定の地域を確認する

中国では、地域によって異なる言語が使用されます。標準的に使われている文字が異なるため、必ず翻訳前に対象の地域を確認しましょう。中国本土では「簡体字」、台湾・香港・マカオでは「繁体字」が使用されます。
なお、「簡体字」「繁体字」の内容は似ているため、両方への翻訳が必要な場合は、それぞれ日本語から翻訳するよりも、日本語→簡体字→繁体字、のような順で翻訳を行うことで費用を抑えることができます。

読点・カンマの使い方に注意

文中で意味の区切りを示したいとき、日本語では「、」、英語では「,」を使用しますが、中国語では「、」「,」の2種類を使い分ける必要があります。
中国語での読点は、基本的には「,」です。並列する(「and」の意味を示す)場合は「、」を使用します。
揃っていないからといって安易に修正してしまうと意味が変わってしまうため、注意が必要です。
また、読点・カンマは全角を使用することが一般的です。英語の半角カンマ「,」とも異なるため、英語からそのまま流用してしまうと不統一の原因となります。十分に注意して翻訳を行いましょう。

安易に日本語の漢字をそのまま使用しない

中国語では、日本語と同じ漢字を使用することがありますが、見た目は同じでも意味が異なる場合があります。

例:「設定」

日本語では「~を設定します」のように、特にソフトウェアの取扱説明書で多く出現する用語です。しかし、中国語の「設定」には「設立する/設置する」のような意味があり、日本語と同じように使うことはできません。
日本語と同じ文字だから合っている、と思いこまず、必ず意味を確認して翻訳することが大切です。

使用するフォントに注意

翻訳後のDTP(Desktop Publishing)編集時には、使用するフォントの選択に注意が必要です。
日本語の取扱説明書で使用しているフォントは、中国語のすべての文字には対応していないことが多いです。そのため、翻訳後に、日本語をそのまま中国語で上書きしてしまうと、表示できない文字のみ自動でフォントが置き換えられてしまったり、文字化けが起こったりする原因となります。
例えばWindows環境の場合、中国語が表示できるフォントには以下のような種類があります。

簡体字:ゴシック体の「Microsoft Yahei」や「SimHei」、明朝体の「Simsun」など
繁体字:ゴシック体の「Microsoft JhengHei」、明朝体の「MingLiu」など

表示させたいデータの形式にあわせて、中国語が表示できるフォントを設定するようにしましょう。

おわりに

製品の国際展開が進む中、中国市場への進出がますます重要になっています。
中国向けのマニュアル翻訳では、使用予定の地域、読点やカンマの使い方、日本語との意味の違い、そしてフォントの選択に注意する必要があります。
ご紹介したようなポイントを見落としてしまうと、中国のユーザーに内容を誤解されたり、製品を正しく使ってもらえなかったりする可能性があります。
製品の特性や目的に合わせ、場合によっては専門の翻訳者やサービスを利用することで、より効果的なマニュアルが完成することでしょう。

この記事を書いた人

編集部 Y

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