翻訳会社の選び方:価格、品質、サービスの観点から

グローバル化が進む中で、ビジネスの現場では正確で迅速な翻訳が求められる場面が増えています。しかし、どの翻訳会社を選べばよいのか悩む方も多いでしょう。本記事では、翻訳会社を選ぶ際に注目すべきポイントを、価格、品質、サービスの3つの観点から詳しく解説します。

価格

翻訳を依頼する際、まず考慮するのが費用面です。ただし、単に安いだけではなく、価格の内訳や考え方を理解することが重要です。

1.1.       価格の内訳

翻訳会社が提示する価格には、以下のような要素が含まれることが多いです。

  • 翻訳料:実際にテキストを翻訳する作業の費用。
  • チェック料:翻訳後の文書をチェックし、整合性や表現を整える作業の費用。
  • 編集料:翻訳作業後に、指定のデータ形式に沿ってレイアウトを整える費用。
  • 進行管理費:プロジェクト全体の進行を管理するための費用。

翻訳会社によっては、チェック料・編集料・進行管理費等が翻訳料に含まれる場合もあります。

提示された価格の内訳を理解せずに依頼してしまうと、後から「依頼したかった作業が実は価格に含まれていなかった」「必要ない作業が含まれていた」などの問題が発生することがあります。
翻訳会社に依頼する際は、事前にこれらの内訳が明確に提示されており、依頼したい内容と合っているか確認するようにしましょう。

1.2.       価格の考え方

翻訳会社によって、料金体系が異なります。主な基準とそのメリット・デメリットを以下にまとめます。

主な基準 メリット デメリット
文字量基準:
翻訳対象の文字数・ワード数に基づく料金。こちらが主流。
  • 料金が明確で予測しやすく、依頼前に正確な見積もりを出しやすい。
  • 翻訳メモリを活用することで、コストを抑えることが可能。
  • 翻訳対象のデータ形式や支給状態によっては、見積もりに時間がかかることがある。
  • 日本語が原文の場合、漢字かひらがな・カタカナかで、文字量にばらつきが出ることがある。
時間単価基準:
翻訳者の作業時間に基づく料金。
  • 特に複雑な内容や専門的な翻訳に適しており、作業の柔軟性が高い。
  • 文字量やページ数がカウントできない文書でも翻訳の依頼が可能。
  • 作業者のスキルや作業効率に依存する側面があり、最終的な費用が予測しにくい。
ページ数基準:
ページ単位の料金。
  • 文書全体で一括計算されるため、簡便で迅速な見積もりが可能。
  • 印刷物など、文字数のカウントが難しい場合でも迅速に見積もりが可能。
  • 内容量が少ないページでも同じ料金が適用されるなど、どんぶり勘定になりやすく高値になる可能性がある。

1.3.       翻訳メモリの活用

翻訳メモリを使用している翻訳会社は多いでしょう。翻訳メモリを使用することで、過去の翻訳データを活用し、価格を抑えることにも繋がります。

主なメリット:

  • 繰り返しの翻訳作業を削減し、コストを抑える
  • 一貫した表現を維持する

翻訳メモリの活用状況も、価格と品質の両面で注目すべきポイントです。こちらの記事もあわせてご確認ください。

品質

次に、翻訳の品質を左右する要素を見ていきましょう。

2.1.       翻訳作業・チェック体制

依頼したい文書に合った品質管理の体制が整っているかを確認しましょう。

  • 専門分野に精通した翻訳者が担当しているか
  • ダブルチェックやネイティブチェックを行っているか

翻訳会社によっては、翻訳者のレベル感やチェックの有無によって価格を変えている場合もあります。必要以上の品質を求めると価格も上がってしまうため、依頼内容に合ったレベル感・価格で対応できる翻訳会社に依頼することが重要です。

2.2.       過去の翻訳の踏襲

特に継続案件の場合、過去の翻訳内容を踏襲できる翻訳会社に依頼することで、用語や表現を統一し、より使いやすい翻訳物に仕上げることができます。翻訳会社がどの程度過去の翻訳を踏襲できるかを判断するには、以下のような点を確認しましょう。

  • 翻訳仕様書はあるか
  • 用語集はあるか
  • 翻訳メモリを使用しているか
  • 過去と同じ体制で作業しているか

2.3.       依頼したい分野への対応

依頼する文書に特有の仕様がある場合、それを適切に理解し、反映できるかも重要な要素です。例えば、技術文書、契約書、マーケティング資料など、文書の種類ごとに求められるスキルが異なります。翻訳会社によって得意な分野も異なるため、翻訳したい文書がマニュアルである場合は、マニュアルを得意としている翻訳会社に依頼するとよいでしょう。

サービス

最後に、翻訳会社のサービスが信頼できるかどうかをチェックします。

3.1.       スケジュールの明確さ

スケジュールを明確に提示し、納期を厳守する翻訳会社に依頼することは、言うまでもなく不可欠です。以下のようなポイントをクリアしている翻訳会社を探すとよいでしょう。

  • スケジュールの提示:プロジェクトの開始前に詳細なスケジュールを提示しているか。
  • 納期厳守:指定の納期に間に合う体制が整っているか。
  • 緊急対応の可否:突発的な依頼や変更に対応できる柔軟性があるか。

3.2.       進め方の提案や説明

翻訳プロジェクトの進行について、事前に以下のような提案や説明があると安心です。

  • プロジェクト計画の説明:作業工程や進行スケジュールを具体的に提示。
  • 適切な翻訳手法の提案:案件に適した翻訳ツールやプロセスの提案。
  • リスクマネジメント:予想される問題や解決策を事前に共有。

3.3.       やり取りのスムーズさ

日々の連絡が円滑に行えるかも、信頼性の指標となります。例えば以下のようなポイントも、必要に応じて確認するとよいでしょう。

  • 対応の迅速さ:問い合わせや修正依頼に対する応答が早い。
  • 柔軟な対応:急な変更や追加要望に柔軟に対応できる体制。
  • 専任担当者の有無:問い合わせ窓口が一元化されており、コミュニケーションが簡単。

3.4.       追加サービス

翻訳以外の付加価値を提供できるかも確認するとよいでしょう。

  • 多言語展開:複数の言語への同時翻訳が可能か。
  • DTP(デスクトップパブリッシング)サービス:翻訳後のデザインやレイアウト調整まで対応できるか。
  • アフターサポート:納品後の修正や追加依頼に対応しているか。

まとめ

翻訳会社を選ぶ際には、価格、品質、サービスの3つの観点から総合的に判断することが重要です。それぞれのポイントをしっかりと確認し、自社のニーズに合った翻訳会社を選びましょう。適切なパートナーを見つけることで、ビジネスのグローバル展開をスムーズに進めることができます。

この記事を書いた人

編集部 Y

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