
皆さんは、マニュアルを作成する際、どのようなことに気を付けているでしょうか。
正確な情報が過不足なく書かれていること、日本語として誤解なく伝わる文章になっていることはもちろん大切です。
しかし、せっかく必要な情報が盛り込まれているマニュアルを準備しても、レイアウト、見せ方によっては、探している情報が見つかりにくくなったり、改訂したいときに作り直しになってしまったりすることもあります。
今回の記事では、マニュアルのレイアウト編集を行う際に、まず気を付けたいポイントをご紹介します。
ぜひ、この記事の内容をひと通り検討してからレイアウト編集作業を始めるようにしてください。
マニュアルにおけるレイアウト編集
チラシやプレゼンテーション資料等、ポイントだけをうまく伝える資料を作成する際には、色やフォント、情報の配置、図やイラストの使用等、デザイン・レイアウトを細かく工夫することで効果的に見せられることが多いです。
それに対し、マニュアルでは、必要な情報がすべて正しく伝わることが最も重要です。チラシ等の販促資料のように、凝ったデザイン・レイアウトにする必要はありません。余計な情報を減らし、可能な限りシンプルなレイアウトにすることで、必要な情報にすぐにたどり着くことができます。
レイアウト編集を始める前に考えたいポイント
マニュアルの内容に適したレイアウトを迷うことなく作成するためには、作業を始める前のタイミングで仕様を決めることが重要です。ここでは、編集作業開始前に最低限考えておきたいポイントをご紹介します。
1. マニュアルの内容に合ったアプリケーション(データ形式)を選択する
まず考えたいのは、どのようなアプリケーション(データ形式)を使用するか、ということです。
マニュアルを手書きで作成することはほぼなくなったかと思います。PC上でテキストを打ち込み、レイアウトを編集する、となると、様々なアプリケーションが選択肢に挙がります。使用するアプリケーションによって作れるデータの形式も変わるため、目的にあったものを選択する必要があります。
例えば、Microsoft Wordでマニュアルを作成している方は多いでしょう。テキストの作成~レイアウト編集までをある程度シンプルな操作で行うことができ、マニュアルをまずは作成したいと考えている方にお勧めです。複雑な図解を入れたい場合はMicrosoft PowerPointの使用も考えられます。表がメインの場合はMicrosoft Excelを使用することもあるでしょう。他にも、デザインを細かく調整したいならAdobe FrameMakerやInDesign、閲覧しやすいhtml形式など、選択肢は様々です。マニュアルの内容や用途に応じて、適切なアプリケーション・データ形式を選択しましょう。
2. データ形式を揃える
作成するデータ形式が決まったら、その形式を可能な限り最後まで使用するようにしましょう。マニュアルの途中でデータ形式が変わると、実際には正しい内容であったとしても、途中から更新されていない状態を連想させることや、管理が煩雑になることなどから、読み手に不信感を与えてしまう可能性があります。
また、マニュアルの内容を後から編集したいときに、データ形式が違うとそのまま情報を移動させることが難しく、情報整理やレイアウトの調整に余計な手間がかかってしまいます。同じアプリケーションを使用していたとしても、途中で縦から横になったり、判型が変わったり等、必要以上に変更が入ってしまうと、その分更新の手間がかかることになります。
読み手、書き手両方の視点から、可能な限り形式を揃えることをお勧めします。
3. 使用するアプリケーションのバージョンを揃える
同じデータ形式を使用していたとしても、アプリケーションのバージョンが異なると、微妙に見た目が異なったり、場合によってはページ数が違ってしまったりすることがあります。特にページ数が異なると、社内外で情報のやり取りを行う場合や、印刷したい場合に不都合が発生する可能性があるため、このような問題は避けたいところです。
また、複数名でマニュアルを作成していたり、作成者と更新者が異なったりする場合、バージョンの異なるアプリケーションを使用してしまうと、せっかく整えたはずのレイアウトに差異がでてきてしまう可能性もあります。
同じ見え方で使用したい場合は、アプリケーションのバージョンも必ず確認し、揃えるようにしましょう。
マニュアルを閲覧する際にも同様に、完全に同じ見た目とするためには、同じバージョンのアプリケーションを使用する必要があります。もし、編集の必要がなければ、Adobe PDF等の閲覧用のファイル形式に出力することで、同じ見た目のデータを共有することができます。
4. 最初にテンプレートを作成する
レイアウト編集を始める前に、レイアウトのテンプレートを作成することをお勧めします。
最初にテンプレートを作成し、それに沿ってマニュアルの内容を流し込んでいくことで、マニュアル全体でレイアウトの統一をはかることができます。また、マニュアルの改訂や、内容の追加を行う際にも、最初に作成したテンプレートに沿って作成すれば、違和感のない内容に仕上げることができます。レイアウトを再調整する手間や、余計な迷いを減らすことができ、作業の効率化にも繋がります。
ぜひ、最初にテンプレートを作成し、全体の方針を決めてから編集作業に取り掛かるようにしてください。
社内でのレイアウト編集が難しい場合にお勧めの方法
マニュアルのレイアウトを整えるには、想像以上に手間がかかったり、場合によっては使いたいアプリケーションが社内で使えなかったりといった問題が発生することがあります。ここでは、レイアウト編集の手間を大幅に減らしたり、社内で手を動かさずに編集作業を行ったりするための方法をご紹介します。
1. マニュアル作成ツールを使用する
レイアウト編集を簡単に補助してくれたり、場合によってはテキストを入力するだけでレイアウトが完成したりするようなツールが多数開発されています。ツールによって使用料が異なったり、設定できるレイアウトに制限があったりはしますが、想定にぴったり合うツールが見つけられれば、簡単にレイアウトを整えることができます。
2. 専門業者に依頼する
レイアウト編集を専門としている編集業者も多数あります。また、日本語の作成を専門にしている業者や、文書の翻訳を行っている業者でも、レイアウト編集作業のみを依頼できる場合があります。費用はかかりますが、希望に合わせた内容でレイアウトを作成してもらえるので、手間なく想定通りのレイアウトを作成するには最もお勧めの方法です。
ただし、業者によっては扱えるデータ形式が限られていたり、アプリケーションのバージョンが社内で使用しているものと違ったりすることもあります。依頼する際には、その業者が希望するデータ形式・バージョンに対応しているか、必ず確認するようにしましょう。
まとめ
今回は、マニュアルのレイアウト編集を行う前に考えたいポイントをご紹介しました。マニュアルは正しく内容が伝わることが重要なため、シンプルで使いやすいレイアウトを採用することをお勧めします。
一度編集作業を始めてしまうと、途中で仕様を変えたい場合は作業のやり直しになってしまいます。必ず、作業を始める前に、用途やレイアウトの方針を考え、ある程度決めてから作業に取り掛かるようにしましょう。
この記事を書いた人

編集部 Y